設 立 趣 意


 

『豊かな学びと豊かな暮らしを生涯にわたり支援する』

 

    知的や発達に軽い遅れのある人たちにとって、その特性からゆっくりゆったりした時間の流れが必要です。学齢期における教育も同じであり、とりわけ中学・高校での学習は早く理解し高得点を得ることが要求される傾向があります。

 他方、支援学校では、特に高等部においてはキャリア教育の充実が求められ職業教育の比重が高められています。

 このように両極端の学校教育の中で知的や発達の遅れのある人たちは、不安や戸惑いが生じ二次、三次障がいを併発し不登校や引きこもりという問題が生じています。

 また自立支援法の施行や障がい者権利条約の推進など、従来の教育・福祉が大きく転換し社会全体が障がいを持つ人々に対して理解を深め、地域の中で社会生活を営めるようになりつつあることは一大進歩と思います。しかしながら現実問題として、社会での理解が深まったからと云って障がいを持つ人々の生活が変わったということはありません。

 一般就労における障がい者の法定雇用率も向上してきましたが、そこは未だに障がい者という名称が色濃く残っています。働く技術を身につけ就労しても周囲の人々と協働してこそ職場であるにもかかわらず、障がいのある人だけが孤立していっているのが現状ではないでしょうか。  

 働く技術も必要ですが、その前に集団の中で一緒に活動し、共感できる力を身につけることが最も重要です。このことは単に障がいのある人だけの問題ではありません。働ける仲間もなく孤立しては生きづらいことを感じるだけです。共感する力や達成感は学校教育の中で養われます。仲間の中で安心して、ありのままの自分を出せ、それを互いに認め合うから信頼が生まれます。信頼のある仲間の中で、更に広く知識教養を身につければ視野が一層深まり、社会を大きく捉えることが出来ます。

 そのための教育と生活を経験する場があれば自立に繋がります。適切な学校教育を経た上で、自立を求め生涯に渡り自分らしく豊かに生きていく為にも、専攻科の先に教養と生活を両面で学べる場が必要と考え、「青年の学びと生活を保障する会」を立ち上げ、この活動がより広く社会に認知され公共性のあるものにしていきたいと思い、特定非営利活動法人の申請をすることにしました。